日焼けはやけど

皮膚の日焼けは、医学的には「軽いやけど」の一種とされています。

紫外線にあたって数時間ほど経過すると、太陽の光にあたった部位に、赤みが生じて、6~24時間後でピークに達します。症状がひどくなると、皮膚がむくんだり、水ぶくれが生じることもあります。

やけどの重症度を決める損傷の深さは、

①表皮・角質層のみを損傷した場合のⅠ度

②表皮・基底層まで損傷してしまうⅡ度

③肌の奥にある真皮・皮下組織までを損傷した場合のⅢ度

の3段階に分けて診断されます。

水ぶくれ・ヒリヒリした痛み・ほてりがある日焼けは、この「やけどの深度」のⅡ度に当たります。

また、やけどの重症度を決める面積に関しては、日焼けの場合は広範囲にわたっているケースがほとんどであり、日焼けの危険性の1つは、損傷している面積が広いことにもあります。
日焼けをして水ぶくれができた経験のある人も少なくないでしょう。 この水ぶくれは体液が中に入っているので、面積が広くなればなるほど体液のバランスをくずしてしまいます。

体液を急に失うと、低容量性ショックを起こすこともあるのです。

強い日焼けで、激しい痛みや発熱を伴う場合、面積が広い場合には病院で見てもらい、適切に処置する必要があります。

また、日焼けは皮膚がんを引き起こすリスクがあります。

昔は、日光浴は健康的で良い事とされてきましたが、日焼けは皮膚がんになるリスクを高めることがわかってきました。
メラニンは紫外線から体を守ってくれますが、メラニンの少ない白人は皮膚がんの発生率が高いのです。紫外線に対する防御力が影響していることが確認されています。

日本人は、白人に比べるとメラニンが多い人種ですが、やはり紫外線へのリスクマネジメントは必要なのです。

日焼け止めのSPFとPAの意味とは?

日焼け止めローションやクリームを購入されたことのある方は、「SPF」、「PA」という表示を目にしたことがあると思います。

「SPF」は、Sun Protection Factorの略で、主にUV-B(紫外線B波)の防止効果を表す目安の数値です。

数字が大きいほど効果が高くなります。

紫外線が当たりだしてから日焼けしてしまう(赤い炎症を起こしている状態)まで、人によって個人差がありますがだいたい15分~20分と言われています。

それをたとえばSPF30なら30倍遅らせることができ、SPF50なら50倍遅らせることができるという意味です。

SPF数値が高いと、確かに日焼け止め効果も高いですが、実は肌への負担も少なからず大きくなります。(SPF値が低いほど、肌へのダメージは少なくなる)

一方、「PA」は、Protection Grade of UVAの略で、主にUV-A(紫外線A波)の防止効果を表す目安の数値です。

+の多さがUV-Aに対する効果の高さを示します。

++++、+++、++、+の4段階があり、+の数が多いほど効果が高くなります。

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もちろん日焼け止めを塗ったからといって100%紫外線が防げているわけではなく、ある程度までは防ぐ効果があるということになりますね。

日焼け止めは外出する時には、必ず塗るようにしましょう!

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紫外線の強い時期はいつ?

紫外線が強くなるのは、春から夏にかけてです。

理論上、夏至の日(6月21日頃)が最も強いです。

特に4月頃から紫外線の量や強さが増していき、5月頃から9月頃までは紫外線が強い時期が続きます。

夏には日焼け止めや紫外線対策をする人も多いと思いますが、紫外線対策は3月頃からしておくことをおすすめします。

冬の乾燥により肌が弱っている場合も多く、春の紫外線対策はしっかりと行う必要があります。また、1年を通して紫外線は降り注いでいるので、晴れていて雲のない日には冬でも紫外線対策をしておくことをおすすめします。

とくに紫外線が強いのは6月、7月、8月です。

この頃は太陽から直接浴びる紫外線だけでなく、道路のアスファルトや海からの照り返しによる紫外線にも注意が必要です。

UVカット効果の高い日焼け止め(SPF50+・PA++++クラスのもの)や日傘などの紫外線対策グッズをしっかりと肌を守りましょう。

紫外線の健康への影響について

紫外線とは、地球に到達する太陽光線のうちの1つです。

UVは、紫外線を意味するultravioletの略です。
紫外線はUVーA波、UV-B波、UV-C波の3種類に分けられます。そのうちA、B波が地球に届いています。

UVBは、皮膚の表面、目などに有害です。日焼けを起こしたり、皮膚がんの原因になります。
一方、UVAは、B波ほど有害ではないといわれていますが、長時間浴びた場合は同じように、細胞を傷つけるため、同様の健康被害の原因となります。窓ガ ラス や雲を通過して皮膚の奥深くまで届きます。そして、しわやたるみなどの「肌の老化」を引き起こす原因になります。
そしてどちらもいわゆる「日焼け」の原因となります。

紫外線はたんぱく質を変性させ、皮膚に紫外線が照射されるとコラーゲン繊維および弾性繊維にダメージを与えて皮膚を加齢させ、肌を老化させてしまいます。

波長の長いUVAの危険性は近年まで軽視されてきましたが、皮膚の加齢、DNAへのダメージ、皮膚がんへのリスクがあります。このうち特に、皮膚の加齢は、波長が長くUVBより深く皮膚の中に浸透し、皮膚の張りを保つ弾性繊維を徐々に破壊する主な原因となっています。

また、一度破壊された弾性繊維はなんと回復しないのです。UVAはUVBと比べて、大気中での減衰が少なく、UVBの減少する冬期や朝夕でも比較的多く降り注いでいます。

UVAは、日焼けのうちサンバーンを引き起こすことはありませんが、サンターンを引き起こすことが知られています。日焼けサロンで照射されるのは、主にUVAです。

もちろん日焼けサロンのUVAであっても、皮膚の老化を早めることになります。

紫外線の発見

17世紀に、イングランドの物理学者であるアイザック・ニュートン(万有引力の法則、運動方程式、古典力学などの功績がある)がプリズムと呼ばれるガラス・水晶などの透明な媒質でできた多面体を用いて、可視光線が赤から紫までにいたる多数の色の光線から成り立っていることを証明しました。

その後、この目に見える可視光線のほかに、見えない光線が存在すると研究者たちの間で考えられるようになりました。

1777年に、セーレは塩化銀に日光を当てると紫色になることを発見し、この作用は紫色のスペクトルでもっとも強いことを証明しましたが、紫色の外側にも目に見えない光線があることまではこの実験では気づかなかったのです。(セーレの実験)

1800年に、イギリスのウィリアム・ハーシェルによって赤外線が発見され、この考えが立証されるとすぐに、ドイツの物理学者であるヨハン・ヴィルヘルム・リッターが、スペクトルの反対側である、紫より短いスペクトルを探し始めたのです。

1801年、セーレの実験をもとに、リッターは光に反応する塩化銀を塗った紙を使用して、紫の外側の目に見えない光を発見しました。これは化学光 (chemical light) と呼ばれました。その時期、リッターを含めた科学者たちは、光は「酸化発熱要素」(赤外線)、「照明要素」(可視光)、「水素化還元要素」(紫外線)の3つから構成されていると結論づけたのです。

スペクトルの他の領域との統合は、マセドニオ・メローニ(イタリアの物理学者)、アレクサンドル・エドモン・ベクレル(フランスの物理学者)らの研究まで知られることはありませんでした。

1877年になって、太陽光線の殺菌作用は紫外線であることが確認されました。

その間、紫外線は、「科学線放射 (arctinic radiation) 」とも呼ばれていましたが、それからしばらくして、1893年にドイツのヴィクトール・シューマンによって真空紫外線が発見されたいう経緯があります。

その後、紫外線は、蛍光灯やブラックライト、その他さまざまな工業用の機器などに用途が広がっていったのです。

紫外線の発見は、まさに多くの科学者たちの大変な研究、努力のたまものなのですね。私たちが紫外線に関する知識を深めていくことは、過去の素晴らしい学術や研究なくしては成り立つものでありません。

これが、私たちが紫外線への理解を深めることに、とても魅力を感じてしまう理由でもあるのでしょう。